橋にはどんな種類があるの? 私たちが生活している中で普段は何も意識せずに使用している「橋」。いつも通っている橋がどうしてその形であるかを気にしたことはありますか? 日本は国土の約7割を山が占めており、必然的に多くの川が流れています。そのため、どこかへ出かけようとするとどこかしらで橋を目にする機会が多いのではないでしょうか? 一口に橋といっても「どのような大きさがいいのか」「どのような地形なのか」「どのような気象なのか」などの様々な条件を踏まえて、架設する橋の形式を決定します。ここでは、一般的な橋の形式を紹介します。 桁橋 とても古くからあり、もっとも一般的な形式です。橋を渡したい場所に支える台(橋台・橋脚)を作り、その台の上に桁を架ける方法です。桁の支持方法・断面の種類・材料の種類などを組み合わせて、架設場所にもっとも条件の合う桁を製作します。支間が長くなってしまうような条件には向いておらず、50m以下の支間長のものがほとんどです。なんと、国道に架かる橋の80%以上は桁橋であるそうです。 プレテンション桁(T桁・ホロー桁) ▲プレテンションT桁 行屋橋:プレテンション方式単純T桁橋▲プレテンションホロー桁 昭和橋:プレテンション単純中空床版橋 ポストテンションT桁 ▲ハツカラ橋:3径間ポストテンション方式連結T桁橋 中空床版桁 ▲羽黒川橋:6径間連続場所打ちPC中空床版桁 箱桁 ▲八雲こ道橋:PC2径間連続ラーメン箱桁橋 プレビーム桁 ▲おおとみきぼうのはし:単純プレビーム合成桁橋 トラス橋 棒状の部材を三角の形状に組み合わせた骨組みをトラスといいます。三角状の骨組み(トラス)をいくつもつないだものをトラス構造といい、その構造を組み合わせて作った橋がトラス橋です。構造的に丈夫であり、桁橋と比べて使用する部材が少なく軽量なので、桁橋よりもやや大きな50m~100mほどの支間長のものが一般的です。途中に支えがなかったとしても、連続したトラス構造を使用することによって最長500mほどの長さを渡すことが可能です。 ▲永田橋:4径間連続複合トラス橋(スペーストラス構造) 前 次 アーチ橋 アーチ(arch:弓形)という名前のとおり、上向きに緩やかな弓なりの弧を描いた形をしている部材を主な構造に持つものをアーチ橋といいます。外観が美しいだけではなく力学的にも大変優れた構造で、古いものでは紀元前から造られていたとの記録が残っています。50m~250mほどの支間を渡すことが可能で、橋脚を造ることが困難な場所でも架設できるため、渓谷や海峡で見られることが多い橋梁形式です。 ▲長瀬大橋:RC逆ランガーアーチ橋 前 次 斜張橋(しゃちょうきょう) 塔から斜めに張ったケ―ブルを橋桁に直接つないでを支える橋梁形式が斜張橋です。斜材の配置や塔の形状の設計の自由度が高いため、外観が優れているものが多くあります。ランドマークとして活用されることが多くなってきたため、近年採用数が増えています。吊橋の次に支間長を大きくすることのできる橋梁形式で、300m~500mほどの比較的長支間のものに向いています。 ▲松川浦大橋:3径間連続PC斜張橋 前 次 吊橋(つりばし) 塔の間にメインケーブルを渡して、そこから垂らしたハンガーロープで橋桁を支える構造のものが吊橋です。現在数多くある橋梁形式の中でもっとも支間長を大きくすることのできる構造をしているので、世界の長い橋の上位は吊橋形式が多くを占めています。しかし、長支間に向いているからといって、長大橋だけに使用されているわけではありません。中小支間であっても景観性を重視して採用されることもありますし、生活道路としての歩行者専用道路として架設されることもあります。 ▲鷺舞橋:2径間連続PC吊橋(片面吊り) ラーメン橋 ラーメンといっても食べるラーメンのことではなく、ドイツ語で「骨組み」を意味するRahmenに由来しています。一般的な橋梁形式では下部工(橋台・橋脚)と橋桁の間に衝撃を吸収する役割を担う「支承」というものを設置するのですが、ラーメン橋には支承がなく下部工と橋桁が一体化している構造となっています。一体成型されているため耐震性に優れており、変形による落橋がないことから地震の多い日本ではよく利用されています。身近なところだと高速道路を跨ぐ陸路や山間部の谷間に多く見られます。 ▲越喜来高架橋:PC6径間連続ラーメン箱桁橋 前 次